お気に入りの和食のお店へ。
18時5分過ぎくらいに訪れるとカウンターには既に7名。
カウンター10席と個室が一つのこじんまりとした店内。
料理に集中するご主人との一体感を感じられるサイズが、料理好きの私には嬉しい限り。
L字カウンターの短辺、ご主人の調理姿がよく拝見できる、前回と同じポジションへ案内される。
お料理は予約時にお願いした15,000円のコース。
今回は、ちょっとひねりを加えていただいている。
いつも懐石料理をいただく時は、ビール、梅酒、焼酎、日本酒のいずれかを選ぶが、今日はなんとなく特別感を求めたい。
というか、繊細な泡で乾杯がしたい気分。
N/V Cremant de Bourgogne / L. Vitteaut-Alberti
クレマン・ドゥ・ブルゴーニュ ヴィトー・アルベルティ
選んだのは、シャンパーニュと同じ製法で造られるクレマン。
シャンパーニュよりガス圧が低いため、より優しく柔らかな泡となるそうだ。
乾杯!
きめ細かな泡が、乾いた喉に心地よい。
1.)先附
松茸の茶碗蒸し

(先月、お客さん同士のトラブルがあり、写真撮影禁止となったため、最初の一枚のみ)
岩手県産松茸。
スライスされた松茸、細かく刻まれた松茸、さっぱり柚風味。
2.)お凌ぎ
舞茸おこわ
舞茸の香りがしっかりと。
もち米の炊き具合が、もっちり食感好きの私にはたまらない。
舞茸の風味をおかずに、ふっくらとしたお米を一粒ずつ味わう。
3.)ハ寸
昨年の同時期の八寸とは、食材が一部替わり、盛り付けも変化している。
素揚げ銀杏は、ほのかな苦みを感じるが、ほんの少しだけかかったお塩がアクセントとなり、微かな甘みを感じる。
子持ち鮎の甘露煮は、しっかりと甘辛い味付けで、ご飯がほしくなる。
柿の胡桃ペースト和えには、アーモンドスライスがかかっている。
クルミペーストの中から柿の甘みがじゅわっと広がり、この状態でクレマンを口に含むとマリアージュが楽しめる。
甘みのある長崎県産雲丹、臭みなく素材本来の味わいの北海道産いくら。
昨年、こちらのお店で初めていただいた、古代チーズの「蘇」は、洋モノのチーズと比べて酸味が少なく、ほのかな甘みがある。
これもクレマンと合わせて楽しめる。
栗の渋皮煮は、八寸の中での〆のデザート感覚でいただく。
柔らかく、しっかりと甘みが浸み込んでいる。
クレマンの後は、ハ海山の大吟醸をオーダー。
4.)吸物
松茸と鱧の土瓶蒸し
土瓶の蓋をしたまま、先にお出汁のみを器に注いでいただく。
秋の味覚の代表格の松茸だけあり、まずその芳醇な香りに心奪われる。
お出汁は昆布と鰹によるものだろうか。
残り3分の1は、スダチを搾り入れていただく。
スダチの酸味がお出汁に更なるコクを加え、手が止まらずにゴクゴクと一気に飲み干す。
ご主人曰く、
鱧は脂が少し抜けたくらいが松茸の香が生きる
それが、松茸と鱧の出会い
とのこと。
ちなみに今日の松茸は岩手県産、鱧は京都府産である。
5.)向付
マグロ、ぐじ
花穂紫蘇のお醤油に入れ、まずはマグロを一口。
脂が乗っており、口に入れると舌の温かみで脂が溶け、その旨味が一気に口の中に広がる。
本マグロ漁で有名な、北海道戸井産。
ぐじは、塩昆布で〆てあり、ぷりぷりの噛み応えで、かなりの弾力。
ほのかな甘みのある白身に、昆布の旨味がよく合う。
身全体がコラーゲン質な魚であり、美肌に利きそう。
こちらは、兵庫県津居山産。
ブランド化された「若狭ぐじ」が有名なことから、「京都の間人(港)のものです。」と説明した方が話が早いそうだが、「京都の間人港のすぐ隣に津居山港というのがあり、そこで獲れたものです。」と教えていただいた。
気になったので「ついやま」とは漢字で「津居山」と書くのかどうかと確認してみたが・・・その通りで、私の地元の「津居山」だった(笑
東京・横浜で食べ歩くようになって以来、こうして自分の地元の食材に出会うことは、本当に嬉しい限り。
後日、久しぶりに実家に連絡したところ、原油高の影響で烏賊釣りを休んでいる父は、最近、ぐじを釣りまくっているとのこと。
しかしその「ぐじ」を釣っている暇があるのもあとわずか。
今年も11月6日から、命がけの蟹漁が始まる。
6.)焼き物
ノドグロの炭火焼き
コースが始まった時から特に楽しみにしていた、のどぐろ。
炭で焼かれている時から、その香りにたまらなくそそられていた。
まずは、そのまま身を一口。
炭火で焼くことによる遠赤外線効果で、適度な水分を保った身はふっくらとした食感。
噛むとその旨味が一気に口の中に広がる。
美味。
スダチを搾り、さらに一口。
脂の乗ったノドグロの身には、柑橘類の酸味がよく合う。
皮の香ばしさもたまらない。
7.)煮物
おちこ芋と生麩の煮物
蓋を取ると、讃岐うどんを思い出す、お出汁の香りが漂う。
讃岐うどんといえば、いりこ出汁。
いりこ、昆布、鰹節のバランスがちょうど良い。
このいりこベースのお出汁と白胡麻・青葱に組み合わせは、絶妙の相性。
おちこいもは、片栗粉をまとっており、お出汁がよく絡む。
もっちりとした食感の生麩は、京都の半兵衛のものだろうか。
ほっこり、やさしいお味の一品。
8.)酢の物
秋茄子とアカカマスの酢の物
焼いて皮をむいた茄子と、焼いて身をほぐしたカマス。
これにスライスした茗荷と生姜、さらにトンブリ、食用菊、山葵を加え、ジュレとなったお酢の効いたお出汁と合わせたもの。
柔らかな茄子とカマス、シャキシャキの茗荷、プチプチのトンブリ、鮮やかな黄色の食用菊。
様々な食感と味覚ががあり、口の中が喜んでいるかのよう。
お酢はあたりが柔らかい酸味で、さっぱり、さらっといただける。
このタイミングで、この一品、幸せ。
10.)ご飯
鯛の土鍋飯
土鍋飯は、鱧、穴子、じゃこの三種類から選ぶことになっているのだが、あらかじめ鯛でお願いをしていた。
蓋を取って見せてくださった土鍋からは、鯛の風味が全開で漂う。
これに、梅肉、山椒を加え混ぜたご飯を、茶碗によそっていただく。
鯛のお出汁に、上品なお味の白身たっぷり。
梅肉の酸味と山椒の風味が程よいアクセントになり、おかわりが止まらない。
2杯目以降のおこげも香ばしく、美味。
11.)汁物
お味噌汁
緑色の葉は、大根の葉かな?
お豆腐絹ごしで、ふるふる柔らかで、大豆を味わえる。
11.)香の物
山芋、ニンジン、大根の漬物。
野菜本来の味を活かしたお漬物。
特に山芋が◎
12.)甘味
蓮根餅
定番の蓮根餅とは異なり、ゼリーのようにプルプルで黒蜜のソースがかけらえている。
皮を擦った柚子の風味もよく効いており、〆に柑橘の酸味が心地よい。
久しぶりに訪れたが、全体を通してお料理の出てくるタイミングが絶妙。
18時からコースが始まり、20時半には食べ終わっていた。
2件目も行ける時間だ(実際行ったのだが・笑)。
ご主人の計らいで、最後にちょっとしたお土産もいただいて、感謝。
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霞町 すゑとみ(すえとみ)@広尾・西麻布
1万5千円コース×2、クレマン・グラス×2、八海山×1合:¥39,847-
081012
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